企業業績見通し
2009年度および2010年度企業業績見通し[2009年度第1次予想]
レポートのダウンロード(PDF 787.11KB)
2009/06/04
- 投資調査本部 濱口 政己
サマリー
◆大和総研では、2009年度および2010年度の企業業績見通しを改訂した。銀行・証券・保険を除く東証1部上場の主要300社(以下、大和300)を対象に、アナリストの予想を集計した結果、売上高は08年度実績が前期比7.6%減収であったのに対して09年度12.1%減収、10年度4.0%増収を予想。経常利益は、実績が64.0%減益、予想は順に15.8%減益、74.8%増益を見込む。
◆2008年度の業績は、7.6%減収、53.4%営業減益、64.0%経常減益、96.0%税引減益となった。下期以降、世界経済の連鎖的不況により海外需要が激減。数量減と同時に製品価格にも強い下落圧力が働き、円高も進行したことから、前年同期比で下期の売上高は、上期の同2.4%増収から一転、 16.9%もの大幅減収を余儀なくされた。稼働率の極端な低下が利益を圧迫する要因となり、売上高の急減に対し固定費の削減も遅れた。さらにSEC会計基準を採用する企業の一時的損失計上があり、下期の経常利益と税引利益は大和300全体で赤字転落となった。加工組立は通期でも経常赤字。なお、有価証券評価損の計上や、設備減損、繰延税金資産の取崩しなどから税引利益は9割を超える減益となった。ただし、厳しい業績を受けて企業対応は加速している。08 年度下期の売上急減には対応が遅れたかたちとなったが、09年度は固定費が03年度以来6年ぶりに前期比で減少する見込み。削減率(-2.4%)は 2001年度(-1.6%)を大きく上回る規模。さらに増収に転じる10年度も固定費の抑制が続く予想。10年度にかけて人件費の削減に加えて、投資抑制、設備減損により減価償却費も減少していく見通し。
◆2009年度の業績は、12.1%減収、21.8%営業減益、15.8%経常減益、455.3%税引増益を予想。2期連続の減収、営業・経常減益となろう。在庫調整の進展による生産の回復や、原料安、リストラ、評価損・減損の消失などもあり、減収率は悪化するが経常利益は15.8%減益で踏みとどまる。なお、有価証券評価損の計上一巡などから特別損失の大幅減少を予想することから、税引利益では増益転換を見込む。半期ベースでみると、在庫調整は概ね上期までに一旦完了するとみている。08年度下期から09年度上期までの大幅な売上減少(前年同期比で16.9%減収→21.1%減収)は09年度下期に 1.9%減収と減収率は縮小に向かおう。コスト削減、08年度計上の一時的損失の消失効果もあり、年度では減益予想だが下期から営業増益、経常黒字転換する見込み。
◆2010年度予想は、4.0%増収、53.1%営業増益、74.8%経常増益、132.9%税引増益。緩やかながらも世界経済が回復、円高デメリットの消失もあり、売上高、利益ともに3期ぶりに増加する見通し。固定費抑制も続き、増収回帰により固定費削減の効果が発現しやすくなり、大幅増益となろう。ただし経常利益水準は、7割超の増益でも過去最高を記録した07年度の5割超に留まる。世界経済の回復は非常に緩やかであり、需要が急減する前の水準に早期に戻る想定はし難い。設備ストック調整が起きる可能性もあろう。その完了を経て、業績は本格回復に向かうと考えている。